東洋医学と
今も昔も女性に備わっている霊性

 
連載第3回
 
和のこころと身体感覚
 

 

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近年、海外から日本へ訪れてくださる観光客のマナーについて、度々ニュースに取り上げられ世間をざわつかせています。
患者さまとの会話でも、このことについてしばしばお聞きします。
報道の通りに受け取ると、マナーの悪さという側面にフォーカスしてしまいがちです。
ものごとの悪い面ばかりに意識が向いてしまう時、中庸思考(白か黒かで決めつけずに良い面悪い面をバランスよくみること)を取り入れるよう患者さまへお話しています。
 
海外からいらっしゃった観光客の多くが
日本文化、日本人の気質に触れ、感銘を受けるそうです。
ホスピタリティ、礼儀、調和の精神を自然に体現できるという国民性。
観光でいらっしゃったかたたちへ「和のこころ」をお渡しし持ち帰っていただくことで
少しずつ日本の素晴らしさが海外へ伝わり
その影響で「和のこころ」である調和の心も広がり
やがて世界が調和と平和で満たされていくとしたら、こんなに素晴らしいことはないと思いませんか。
いま空前のインバウンドブームは世界に愛と調和と平和を広めるための変化の第一歩ととらえることができたとしたら、マナーの悪さという側面ばかりを見てしまう、ものの見方・捉え方が、少し変わるのかもしれません。
 
さてこの「和のこころ」は、日本人に古来備わる身体感覚とも関係があると私は考えます。
 
日本には古くから、体のパーツで心の状態を表現する言葉が色々あります。
・肚(腹)をくくる(覚悟を決める)
・胸を張る(自信・誇りを持つ)
・肩の力を抜く(緊張をほどいて自然体になる)
・頭が真っ白になる(強い衝撃を受け混乱する)
・背筋が伸びる(気が引き締まる・意識が整う)
など
 
例えば、「あの人は肚がすわっている」と聞くと、その人は器量が大きく成熟度が高い人物だということがわかります。
「肚」という漢字は肉体を表すにくづき(月)と
「土」で成り立っています。
肉体が大地にしっかり根差し、揺るぎなくブレない自分の軸を持っている、という在りようを表しています。
日本古来の武道や伝統芸能などにみられる身体感覚はまさにこれを象徴しています。
 
これは臍下丹田が充実していることを表し、
漢方では腎の力、下半身の強さ、魂つまり意志の力を示します。
腎気が充実していると、下半身のしっかりした支えにより、上半身は力が抜けてしなやか。
柳のように根はしっかり張りつつ枝葉は柔らかく風になびくような身体性。
そして柔軟で余裕のある精神状態を創ります。
逆に、肚がすわっていないと自他の分離を感じやすく、不満や不安、怒り、罪悪感、無価値感など、ネガティブな感情に支配されやすくなります。
 
力づくで相手と対峙することなく調和をはかる精神性、霊性。
わたしたちには、それらを支える身体性が本来備わっています。
東洋医学で心身を整え、本来の自分を取り戻すことができれば
この「和のこころと身体感覚」はおのずと発動するのです。
 
余分なちからを抜き抗わず、ジャッジと競争を手放す。
最適な選択をすることができる状態、最適な決断をくだすことができる状態。
それはすなわち、ぶれない軸で、本来の自分自身で生きるということ。
現在のわたしたちに身近な表現をするならば、それはとても快適でここちよく、目指すゴールへ最短距離で楽しく進むことができる状態とも言えます。
 
ここまで「和のこころと身体感覚」と表現してきました。
が、しかし、
これらはもしかしたら、日本に生まれ育っていないかた、海外からいらっしゃったかたにも、深い部分では共通していることなのかもしれません。だからこそ、和のおもてなしをこころよく受け取ってくださるのですよね。
実際に訪れてくださっている海外からの観光客もさることながら、このWEBマガジンへも海外からアクセスいただいています。
この連載で、海外で伝わる『身体性と霊性』についてと、日本に伝わるそれらとの関係などにも触れることができたら、面白いかもしれません。